メタボリックシンドロームとは?

近年、糖尿病などの生活習慣病は、それぞれの病気が別々に進行するのではなく、腹部の内臓に脂肪が蓄積した「内臓脂肪型肥満」が大きくかかわることがわかってきており、世界的に注目されています。

内臓脂肪の蓄積することで、インスリン抵抗性(インスリンの働きの低下)が起こり、糖代謝異常(耐糖能異常、糖尿病)、脂質代謝異常(高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症)、高血圧などの動脈硬化の危険因子が高まっている状態となります。

これら危険因子のひとつ一つの程度が軽くても、それらが重なって存在すると、動脈硬化性疾患の発症が相乗的に増えるので、高コレステロールに匹敵する強力な危険因子となりえます。

つまり、「血糖値がちょっと高め」「血圧がちょっと高め」といった、まだ病気とは診断されない予備群でも、併発することで、動脈硬化が急速に進行してしまうということです。

内臓脂肪が蓄積することで、脂肪細胞からの分泌異常が生じ、それによってインスリン抵抗性や血栓が引き起こされると考えられています。

中でも、インスリンの働きを高めたり、抗動脈硬化作用がある物質が、内臓脂肪の蓄積により極端に減少します。この状態が、糖尿病や動脈硬化疾患の発症に直接関連している可能性があるといわれています。

こういった理由から内臓脂肪が過剰にたまっていると、糖尿病や高血圧症、高脂血症といった生活習慣病を併発しやすくなってしまいます。

最近では、血液中の脂肪細胞分泌物が測定できるようになり(健康保険は使えません)、動脈硬化の危険性の判定に有用となっています。

メタボリックシンドロームでは、10年後の虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の危険度が、正常な人に比べ36倍も高くなるという統計データがでています。

無症状でも、運動負荷心電図という方法により虚血性心疾患の有無を調べたほうがよいかもしれません。

また、内臓脂肪蓄積の結果、尿酸が過剰となりますので、高尿酸血症が約70%に認められます(痛風のことです)。

その他にも、非アルコール性脂肪性肝炎(アルコールをさほど飲んでいないのに肝炎)も高い確率で発症し、放置すると2割が肝硬変に進展するといわれています。